誤乗と誤降

 御乗とは行先を間違って乗ってしまうこと、「御降」は降りる駅を間違うことです。誤乗は正式用語としてありますが実は「誤降」はありません。

 

 路面電車では、普通、いくつかの系統が競合している路線では系統番号を見やすいところに大きく掲出し乗り間違い「誤乗」を防いでいます。系統番号以外にも行先幕の色を変えるなど工夫しています。

 

思い起こせば私も漢字が読めなかった子どもの頃、阪堺電車に乗る時には行先板の形と色で行先を判断していました。また車掌が乗っていて行先を案内していましたので、余程うっかりしていないと誤乗はありませんでした。

 

 現在の阪堺電車は、ワンマンで行先表示はオレンジ単色LED、行先以外に操車用の入庫を示すマークはありますが乗客向けの系統番号や記号は使用していません。

 

我孫子道住吉は住吉で分かれて異なる行先への2系統があり、電車が停留場に入ってくるときに行先をしっかり確認しておかないいと行先違いに誤乗してしまいます。まだまだ主力の351形や501形は、車掌が乗っていた時代の設計で、乗車口中扉付近に行先表示はありません。

 

351形や501形に限ったことではありませんが阪堺電車では誤乗が非常に多いと感じます。恵美須町行に住吉鳥居前から乗ってきて住𠮷を発車してしばらくすると慌て出し、東粉浜や塚西で降りてあわてて小走りで住𠮷に戻る乗客を頻繁に目にします。

 

運転士が補助放送で行先をくどいほどアナウンスしても誤乗者が出てくるのも事実ですが、間違って乗る者が悪いと開き直ってしまっていいのか疑問です。

 

漢字が読めない子どもだけでなく、最近爆発的に増えている外国人が困っているのは明らかでしょう。

阪堺電車の行先表示にはローマ字が併記されていません。中国人は漢字が分かると言う人がいますが「あびこ」や「えびす」とひらがなを使用しているところがあるため読めません。いずれにしろ外国人が阪堺電車を利用するのはかなり高いハードルがあります。インバウンドが話題になる前の話ですが、「日本語が分からん者など乗ってほしない」と言い切った関係者がいましたが、もちろん、現在そのようなことは通用しないでしょう。

かなり以前のことだが車両メーカでエジプト向け車両を見学させてもらったことがありましたが、行先幕はすべてアラビア語で全く分からず、こんな電車、安心して乗れないなと正直思いました。

 

 

阪堺電車の行き先表示。これを外国人が見ても

日本人がエジプトの電車の行き先を見た場合と同じでしょう

ほぼ満点の広島電鉄の行先案内 系統番号にローマ字も表示されています。 これなら安心

誤降車

 

 誤乗の話をしましたが、逆に誤降にも触れておきたいと思います。大阪方から住𠮷神社に行こうと阪堺電車に乗ると、住吉神社の正面入口の住吉鳥居前ではなく、1停留場手前の住𠮷で降りてしまう人が多いのです。

 

昔、住吉公園行きがあったころはこれでよかったのですが、乗り慣れない人、特に外国人が、そろそろ住𠮷神社と思っているときに次は「住𠮷」とアナウンスされると降車ボタンを押して降りていくのですが、しかし降りても神社の前ではなく住宅街で、かなり注意して眺めないと住吉神社の方向が分かりません。間違えて鳥居が見える大海神社に行ってしまう人もいるくらいです。

 

 

かつて高野線で狭山遊園があった頃、狭山遊園へ行く人が皆、一つ手前の狭山で降りてしまうということがありました。狭山遊園へ行く人は狭山ではなくその次の狭山遊園で降りてくださいと車掌がアナウンスしていたのを思い出します。

 

住吉も「住吉大社へお参りの方はもう一つ次の住吉鳥居前での降りが便利です」という日英のスポット放送を入れればサービス改善となると思います。乗客サービスの改善を期待したいものです。