
乗るべきバスがめでたく見つかった後もハードルがあります。特に日本語が分からない外国人には絶望的なものです。それは、バスの乗り方の問題です。わたしたちが外国に行ってバスに乗るのはそう難しくはありません。(バス事業者ではなく)公的機関からの公共交通の情報がしっかりしているのと、乗り方がほぼ統一されているからです。またバス停での次車の時刻や接近情報など提供もITを駆使した秀逸なものです。(写真は台湾バス停のもの)
それに対し日本では、前乗り運賃先払いなのか後ろ乗りで運賃あと払いかなのか2種ありますし、運賃箱も事前両替式と自動釣り銭式があります。事前両替式で間違って多くのお金を投入しても運転士に怒られた上に釣り銭はもらえないのが普通です。

距離制運賃の整理券方式というのは日本独特のもので、券番号と運賃表を乗客が自ら確認し運賃額を判断し現金を用意して下車時に運賃箱に投入という、外国人には極めてわかりにくいシステムです。外国で距離制運賃のバスに乗るときには、運転士に行先を告げて運賃を支払い、チケット(領収書)をもらうというのが一般的です。
現在の日本では現金払い以外にもICカードも何種類もありますし、それ以外にもクレジットカードやQRコードと複雑化の一途で、何が使えるのか、どう使ったらいいのか分からなすぎます(熊本へ行くと実感します。一見何でも使えそうでICOCAやSuicaはつかえません。)
バスを普段使いしない観光客がこの難関をクリアする強い味方に1日乗車券があります。大都市の公営交通ではほぼあります。ただバス車内では発売しないのが普通なので、どこで売っているのか事前に調べておかなければならないのが欠点です。
京都では以前、バス専用の1日券がありその安さもあって外国人観光客がこぞって利用してバスに大挙集中、激混みとなり問題になりました。関西では、鉄道特に私鉄が発達し便利なため、関西人はバスをあまり信用せず極力鉄道を使おうとします。京都のバス専用1日券は、地下鉄が貧弱であるが故のバスの利便性向上のための1日券でしたが、外国人旅行者にはボタンの掛け違えとなって大混乱を招くことになり、結局バス専用の1日券は廃止ということでお茶を濁して終わったようです。
かつての路面電車の大廃止時代、地下鉄とバスがあれば都市内の交通は万全とよく聞きました。大阪市は、地下鉄は充実しましたがバスはダメです。京都ではバス網は充実していますが輸送力不足はどうしようもなく、市内公共交通政策の目的が市電廃止と地下鉄建設だったためこの様ないびつな姿になってしまいましたように思えます。