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堺市自動運転バス国庫補助獲得

7月2日日付本経済新聞

72日付け日本経済新聞で自動運転バスの実証実験が国の補助事業に採択されたとの報道がありました。

市長の夢、3年前に実験した大小路の自動運転バスは、昨年度国の補助事業にならず事業が中断していましたが、今年は予算がとれて実験を再開するようです。全国的に見ると自動運転技術は長足で進んでおり、全国各地ですでに多くの実験が行われ、多くの情報がすでに共有されています。

国も危機的な地域交通、特に運転士不足が顕著なバス事業の改善のため、指針や手引きなどを整備して積極的に推進しようとしています。

 ただ、堺・大小路の自動運転バスは国が想定している導入空間からはいささかズレているようです。大小路堺シャトルバスは南海バスでもドル箱で乗客も多く正規の運転士を貼り付ける値打ちのある路線です。堺シャトルのような優良路線ではない路線をこれ以上不便にしないための自動運転でもあります。

 現在特に問題があるわけでない大小路堺シャトルは、例えば運行頻度の大幅向上、運行時間帯の拡大あるいは運賃値下げを目的とするならなるほどと思いますが、そのような導入目標は示されていません。つぶれたLRTの場合は、弱点の東西方向の交通軸をバスよりもしっかりしたものとすることと、当時発展が見込まれた堺浜と中心部を直結するという明確な命題がありました。ところが今回、バスを自動運転にすることで、東西交通軸の改善になるとは考えにくいです。

 

国からは、自動運転バスについて、空港内のランプバス、観光地内の巡回バス、中山間部の交通改善など導入空間についていくつかの例示がされていて、堺の場合は基幹交通ということになります。

東京都新宿の自動運転バス 京王バスHP
東京都新宿の自動運転バス 京王バスHP

熊本ではバス専用レーンを一般路線バスに交じって走っていた自動運転バスに手動運転の路線バスが追突する事故がありました。自動運転の加減速コントロールが手動運転のバスと相当に(常識外れに)異なるというのが原因のようです。東京都新宿の場合は運転士の手動操作介入が多く必要とのこと、最終的に無人運転をめざす自動運転バスはまだまだ「道のり遠し」の感がします。

 

国は、補助申請にあたり交通の地域課題を明確化しその解決のためにどう自動運転技術をつかうのか、緻密な戦略を求めています。残念ながら堺市にその姿勢はあまり見えません。

 ある市会議員の方のつぶやきですが、市長の半ば趣味でこの事業に税金と人材を投入しているように見える、とのことでした。

しばしば問題になり、市長自身も認識している百舌鳥古墳群大仙公園と旧市内南海線堺駅との間の交通がないという課題の解決に自動運転バスを、というのなら理屈は通りますがね。

 

あるいは、堺市内にも複数ある「地域公共交通確保維持事業」により運行を確保・維持しようとするバス路線を改善するために活用しようとするのが先でしょう。