
8月3日早朝、新ターミナルからの1番電車出発前に地元代表によるテープカットを挙行。

2025年8月3日(日)、広島電鉄の駅前大橋ルートが開通しました。宮島や市内各方面への広電路面電車の発着点は、本年3月にオープンしたJR広島駅の駅ビル2階です。JR改札口から約1分、新幹線からも3分足らず、段差無しでつながる広々としたフロアに4本の発着線が並び、路面電車が次々と発着する情景は想像をはるかに超えます。路面電車後進国の日本でもこういうターミナルができたというのはまさに感涙ものです。
路線線路もこれまで迂回しながら駅前に入っていたものが駅前通りを短絡・直行するようになり、駅から八丁堀など中心部まで約4分スピードアップしたと発表されています。駅ビル1階部はバスターミナルやタクシープールとなっており非常に機能的な構造です。

実はわが国の路面電車政策が転換されてすぐの1998年に国が主導して「路面電車活用方策検討調査」をいうレポートを出しましたが、そこに広島駅前の改善が入っています。当時は駅ビルに乗り入れなど想定の範囲外でした。ループ化する8案ありましたが、駅前通りは自動車への影響を極小化(自動車への忖度)するため、街路樹が植栽されていた中央分離帯部を使って単線軌道とするものでした。それが堂々の複線軌道が敷設されたのはこれまた驚異的です。その後ループ化案は消え駅前電車ターミナルを2階部とするか地下とするかでひと悶着あったそうです。駅前の地下にやたらと広大で天井の高い空間がありますが、かつてはそこにアストラム(新交通)が入る計画だったそうです。地下はその空間の活用案でした。そのような紆余曲折を経ての広島市、JR、広電この3者のグッジョブそしてこの大事業への市民・利用者の協力に拍手です。
また新線開通と同時に、電車情報による信号装置が導入されたのも特筆されます。ところが、先進的なものが開業当日不具合をおこし一時ダイヤが乱れました。地獄のような猛暑の中、社員の方々がコンクリートの軌道上で操車作業にあたっておられました。ご苦労様でした。

翌4日は初の平日。通勤通学客が押し寄せましたが比較的スムーズで、新停留場の実力を遺憾なく発揮しました。
またラッシュ時に路面電車では珍しい一部停留場通過の快速運転が試験導入されました。広電では花火大会時に一定の時間帯全ての便が快速運転するという経験はありますが、ラッシュ時の各駅停車に交じっての運転は初めてです。国内では他に福井鉄道の例があるだけです。日本路面電車界のリーダー広電、そして広島の都市の発展に注目していきたいです。