諸外国、欧米ではある程度長距離を走る鉄道、バスなどでは大きな荷物を置く場所が当然のサービスとして確保されているのが普通です。
ところが日本では必ずしもそうではありません。昔は、大きなトランクを持って旅行するのは普通、商品をてんこ盛りにした行商人も列車を利用したため、大荷物を想定したそれなりの制度がありました。預け荷物のチッキや、大きな駅には赤帽と呼ばれるポーターがいました。車内持ち込みの大荷物には手荷物運賃を取っていました。
手荷物は現在は手回り品と名称を変え、事業者により異なりますが犬猫などの小動物だけが料金の対象でそれ以外は無料になりました。各交通事業者は、控えめな対応にとどめています。
カネにならない付帯営業、付加サービスはきるだけ圧縮の方向です。ただハイカーが多く利用するバスではリュックサック1個につき小児運賃を取っているところもあるようです。
半世紀以上前には「ビジネス特急」という言葉がもてはやされ、かばん一つで特急列車に乗ってくる旅行形態がカッコいいとなっていったようです、現在の鉄道の利用者のマジョリティは、短距離では通勤客、長距離ではビジネス客です。新幹線時代では身軽なビジネス客に対応できればそれでよし、の時代となっていて、荷物のスペースなど設けることなく座席として売ればその分儲かりますからね。
日本人の間で大荷物を持っての旅行は忘れられて欠けていたところに、最近になって外国人旅行者が爆増、問題多発で、日本の常識に風穴を開けられる格好で新幹線に車端部座席の背面空間を使った「変則的な」を荷物スペースが設けられました。
日本では健常な男性の視点で社会構造ができています。これから外れる例えば障がい者、高齢者、女性、子どもの視点は今なお十分ではなく、大荷物を持った人もこの中に含まれてきます。強制されているわけではありませんが、マジョリティからはみ出るそのような人はマイカーで移動しなさい、その方が快適ですよとの割り切りで、少数者排除を可とする日本社会では納得しているようです。
そのような日本の常識ですが、外国人観光客はそうはいかず、自国や過去の旅行先のように大荷物を客車内に持ち込み、置く場所がなくそのあたりに置いてしまってトラブルとなってしまうわけです。黒字を追求し収益最優先で「ゆとり」のない公共交通事業では乗客に「ゆとり」を提供する付帯サービスへの投資は消極的にならざるを得ません。これが昨今の大荷物騒動の根元にあると思われます。
空港輸送鉄道でも荷物置き場が必ずあるわけではない。南海のように座席を半減し、さらに残る座席の座り心地を懲罰か!と呆れるほど悪くする施策は正解なのか?
