広島市では、来る11月1日から市内中心部(おおむね路面電車が走っている区域)の広電電車、バスの運賃が220円に統一されます。
特定地域基盤事業にかかる独占禁止法の特例法が初めて適用されるもので、国も地域交通維持の切り札の一つとして期待しています。
広島市は7社ものバスと路面電車が入り乱れる交通体系となっています。昨今そのすべての事業者がコロナにより経営が厳しくなっており、競争状態が続くと共倒れとなる恐れがあります。
そこで、行政が調整役となり、特別法により解禁されたカルテルを用い、まずは分かりやすい運賃に統一し、次は上下分離(まずははバス停の整備を公で行う)に進めたいようです。
RACDA大阪・堺でも大変お世話になった広島工大の伊藤雅先生も、報道記事の中で公共交通の維持には行政との連携が不可欠となるとコメントされています。色々な関与の方法があると思いますが何が出てくるか注視したいと思います。
数年前、高知県でも採算的に危機的状況に陥った県央のバス交通事業を大手2社競合から、県が調整役となり2社を含めた数社を合併、重複路線の整理や運行間隔の調整などが行われています。今後、地方部、都市部を問
わず全国各所でこのような例が増えていくものと思われます。
守りの競争と攻めの競争で環境は大きく異なりますが、100年以上前、南海鉄道と阪堺電軌が過度の競争で共倒れをしないよう、国や財界が間に入り両者を合併させたことが思い起こされます。
なお、独禁法特別法により、外国では当たり前の運賃プール制が法的には可能となるようですが、関西大の宇都宮先生曰く、収益を上げなければならない交通各社は初乗り分の運賃収入が減ることを恐れるため、公的資金投入が基本的にない我が国の独立採算制度の下ではなかなか進展しないのではないかおっしゃっていました。 (の)