· 

金剛バス路線全廃

 南河内地区で路線バスを運行している金剛バスが1220日をもって路線を全廃するというショッキングなニュースが飛び込んできた。直接的理由は乗務員が確保できないということであるが、乗客の減少による赤字も大きい。いきなり廃線を突き付けられた沿線自治体は大慌てだろう。

地域交通を担ってきた鉄道だけでなく最後の頼みともいえるバスも、超過疎地でもないところで存続が困難とは、この国の長年の交通政策のひずみだろう。公共交通事業も市場原理、競争原理に任せておけばうまく回るはずだと考えられてきた。その結果乗務員の待遇、労働条件は厳しくなる一方で、乗務員確保も公営や大手事業者では何とかなるが、金剛バスのような小規模で体力のないところでは、ないものねだりに等しくなっていたのではないか。社長の「もう限界」という絞り出すような声が耳に残った。

 

 ならば、地域の公共福祉を担う自治体は何ができるのか。 

自治体など地域の「公」的機関が地域公共交通への関与はコミュニィバスなど限定的なのが普通で、そもそも公共交通維持・改善は自治体の法定事務ではない。口を出すということは予算を用意しなければならないということになり、財政に余裕がない自治体では避けて通りたいところである。一部政治家からは競争の敗者は社会から退出となるのは当然で、それを公金で支えるのはあってならないという主張も示されたこともあった。さらに、電車やバスなど公共交通事業は大きな収益性のある事業と信じている一般市民が多い中、公共交通に税金を投入することにアレルギーがあることも問題である。高齢者割引は歓迎だが、事業者に直接渡る補助金は反対という声も大きい。

 

 

 これからは、交通事業者は交通事業単独では、収支を維持できなくなってくるのは明白で、地域交通は公共財の一つとして、お金もかけながら地域全体で支えていくべきものとの考えが浸透しなければならないと思う。